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暗号資産の相関とベータ:アルトコインがビットコインに追随する度合いの読み方

アルトコインがビットコインとどれだけ同じ方向に、どれだけ大きく動いたかを相関係数とベータで測る方法と、期間・標本・相対パフォーマンスをあわせて読むときの注意点を整理しました。

📚 暗号資産を、仕組みから見る · 33/36· ⏱ 読了目安 3分 ·情報更新 2026-10-08
📋 基本情報5
相関係数
日次リターンが同じ方向に動いた度合い。−1から1の間
ベータ
共分散(コイン, BTC)÷ 分散(BTC)。ビットコインが1%動くとき平均何%動いたか
関係
ベータ = 相関係数 ×(コインのボラティリティ ÷ ビットコインのボラティリティ)
注意
ベータが大きくてもビットコインより多く上がるわけではない。下落も大きい
お断り
過去の期間の関係を測った数字にすぎず、予測や投資助言ではない

なぜアルトコインはビットコインに追随するのか

暗号資産のチャートをいくつか並べると、ビットコインが大きく動く日にほかのコインも同じ方向に動く様子をよく見かけます。いくつかの理由が重なっています。第一に、暗号資産市場全体の雰囲気を変えるニュースは、たいていすべてのコインに一緒に影響します。第二に、多くの参加者がビットコインを市場の基準と見て、その動きに合わせて注文を出します。第三に、先物市場でレバレッジが一斉に解消されるときは、コインを問わず清算が連鎖します。そのためアルトコインの動きは「ビットコインに追随した部分」と「そのコイン独自の理由で動いた部分」に分けて見ることができ、その割合を数字で測るのが相関係数とベータです。

相関係数とベータの違い

相関係数は、二つのコインの日次リターンが同じ方向に動いたかを−1から1の値で表します。1に近ければほぼいつも同じ方向、0付近ならはっきりした関係なし、マイナスなら逆方向です。しかし相関係数は大きさを語りません。大きさを見るにはベータを使います。ベータは共分散(コイン, BTC)÷ 分散(BTC)で、ビットコインが1日に1%動くときそのコインが平均何%動いたかを意味します。たとえばベータ1.5は、その期間にビットコインが1%動くとき平均約1.5%動いたということです。二つの数字はベータ = 相関係数 ×(コインのボラティリティ ÷ ビットコインのボラティリティ)でつながっているので、相関が中程度でもボラティリティが非常に大きいコインはベータが大きく出ます。

  • 相関が高くベータが大きい:ビットコインと同じ方向に、より大きく動いた
  • 相関が高くベータが1付近:ビットコインとほぼ同じ大きさで一緒に動いた
  • 相関が低い:そのコイン独自の理由で動いた部分が大きい。ベータも信頼しにくい

ベータが大きいから多く上がるわけではない

ベータの大きいコインを「ビットコインが上がるときにもっと上がるコイン」とだけ覚えるのは危険です。ベータは対称なので、ビットコインが下がるときもより大きく下がったということで、そのコイン独自の動きが一貫して下向きなら、ビットコインが上がった期間でも結果が悪くなることがあります。下の図は、ベータが1.5で相関が高く出るように作った例です。日々の動きはビットコインより大きかったものの、90日後にビットコインは上がり、アルトコインは下がりました。ベータと相関は「一緒に動く度合い」を語るだけで、どちらがよい結果を出すかは語りません。

BTC とアルトコイン(例、開始100)BTCアルト
例:ランダムに作った90日間の価格(開始100)です。アルトコインの日次リターンをビットコインの1.5倍に別の動きを足して作り、日次リターンで測ったベータは1.50、相関係数は0.86です。90日後、ビットコインは+6.9%、アルトコインは−3.8%です。

期間によって数字が変わる

同じ二つのコインでも、30日・90日・180日のどの期間で測るかによって相関とベータが大きく変わることがあります。30日は最近の関係をよく示しますが、日次リターンが30個ほどしかないので、偶然の数日で大きく揺れます。180日は安定していますが、最近関係が変わったなら反映が遅れます。そのため短い期間と長い期間を並べて見て、二つが大きく違えば最近何が変わったのかを調べます。30日の窓を一日ずつずらして測った移動相関を見ると、関係がいつ強まりいつ弱まったかが流れとして見えます。急落相場ではコイン同士の相関が一斉に高まる傾向があることもあわせて覚えておきます。

数字を読むときのよくある間違い

相関とベータは単純な数字なので、かえって多くの意味を付け加えやすくなります。以下はよくある誤解です。特に相関が低く出たコインを「ビットコインと無関係な安全なコイン」と読んではいけません。相関が低い理由は、取引が少なく価格が飛び飛びに動くからかもしれず、上場や供給ロック解除のようなそのコイン独自の大きな出来事があったからかもしれず、ステーブルコインのように価格がほとんど動かないからかもしれません。

  • 相関の高いコインを複数持てば分散になると考える
  • ベータの大きいコインを、上がるときだけ大きく上がるコインと覚える
  • 相関が低い理由を確かめずに独立したコインとみなす
  • 上場したばかりで日数が足りないコインの短い期間の値を信じる
  • 相関を原因と読む。一緒に動いたことは、一方が他方を動かしたという意味ではない

相対パフォーマンスとあわせて見る

相関とベータが「どれだけ一緒に動いたか」なら、相対パフォーマンスは「結果としてどちらが先へ行ったか」です。ビットコインに対するパフォーマンスは(1 + コインのリターン)÷(1 + ビットコインのリターン)− 1で計算します。例として、同じ30日間にコインが+20%、ビットコインが+10%なら、ビットコインに対するパフォーマンスは約+9.1%です。ベータが大きいのにビットコインに対するパフォーマンスがずっとマイナスなら、大きく揺れながらもそのコイン独自の流れは弱かったということです。相関・ベータ・相対パフォーマンスを一列に並べると、そのコインがいまビットコインの影のように動いているのか、自分の物語で動いているのかがよく見えます。ビットコインの比率の変化は「ビットコイン・ドミナンスとアルトコインの循環」の記事であわせて見られます。

このサイトのツールで見る

このサイトの暗号資産相関マトリックスは、選んだコインのバイナンス現物の日足から日次の対数リターンを計算し、30・90・180日の相関係数を色の行列で表示します。さらにコインごとのビットコインとの相関・ベータ・30日リターン・ビットコインに対する30日パフォーマンス、最も似たペアと似ていないペア、直近180日間の30日移動相関も表示します。重なった日数が期間の60%(最低20日)より少なければ値を出しません。暗号資産マルチチャートでは複数のコインのチャートを一画面に並べ、同じ日の動きを目で比べられます。ビットコインが株式・金・ドルとどう結びついているかは「ビットコイン vs 株式・金・ドルの相関」で見られます。

限界とお断り

相関とベータは、選んだ期間の日足で測った過去の関係で、これからも同じである保証はありません。取引所、足の長さ、リターンの計算方法(単純・対数)、重なった日の合わせ方によって数字が変わることがあります。図は仕組みを示すために作った例で、実際のコインの記録ではありません。この記事はコイン同士の関係の読み方を説明したもので、予測ではなく、特定のコインの売買を勧めるものでもなく、投資助言ではありません。

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